
第81回福岡県美術展覧会(県展)デザイン部門・会員の部 出品作品(2026年)
今年のテーマは「日本の文化」。
このテーマに向き合う中で、私が見つめたのは、
日本に受け継がれてきた「祈り」でした。
日本の祈りについて想いを巡らす中で、
私がたどり着いたのが、白・赤・黒の三色です。
紙垂や麻、お札、神事で用いられる装束に見られる白。
鳥居やお札の朱印などに見られ、
古くから魔除けの意味とも結びついてきた赤。
そして、墨によって記されてきた
祈りの文字の黒。
本作では、この三色を
私なりの「日本の祈りの色」として捉えました。
異なる意味や背景を持つ色が重なり合うことで、
一つの祈りではなく、長い時間の中で積み重ねられてきた
数えきれない祈りを表現しています。
染料と布用絵の具を用い、
白・赤・黒を、一つひとつ布に描き、染めています。
描く。
染める。
そして、重ねる。
その繰り返しによって生まれた一つひとつの形や色が集まり、
やがて一枚の布という空間に大きな流れとなって現れていきます。
誰かを思うこと。
願うこと。
目には見えなくても、心の中に確かに存在するもの。
それらが幾重にも重なり、
「祈りの集積」として立ち現れる作品を意図しました。